金利0.1%の世界で、あなたの「安全資産」が知らないうちに目減りしている理由
日本銀行がマイナス金利を解除し、普通預金の金利が0.001%から0.02%へとわずかに上がりました。しかし、このわずかな変化の裏で、あなたが「安全だから」と信じてポートフォリオに入れている債券の価値が、実は静かに下がっているかもしれないとしたら、どうしますか?多くの人が株式のリスクは気にしますが、債券の価格がなぜ、そしてどのように動くのかについては、意外と見過ごしがちです。
金利と債券価格の不思議なシーソーゲーム
「債券は安定している」というのは、ある意味では本当です。満期まで持てば、約束された利息(クーポン)と元本(額面金額)が返ってくるからです。しかし、問題は満期より前に売買される「価格」です。ここで鍵となるのが、世の中の「金利」との関係です。
これを理解するには、シーソーを思い浮かべるのが一番です。シーソーの片側に「金利」、もう片側に「債券価格」が乗っていると想像してください。
金利が上がると、債券価格は下がる。 金利が下がると、債券価格は上がる。
まさにシーソーのような逆の動きをするのです。なぜでしょうか?
カフェで友人に説明するように話しましょう。あなたが、年利1%の日本国債を100万円で買ったとします。毎年1万円の利息がもらえる、悪くない話です。ところが翌年、日銀が政策金利を上げた影響で、新しく発行される国債の利率が年利2%になりました。
さて、他の投資家はどちらを買いたがるでしょうか?当然、同じ100万円を出すなら、毎年2万円の利息がもらえる新しい国債ですよね。あなたの持っている年利1%の古い国債は、魅力が半減してしまいます。そのため、もしあなたがそれを市場で売ろうと思ったら、100万円より安い価格、例えば99万円のように「値下げ」しないと誰も買ってくれないのです。これが「金利が上がると、既存の債券価格は下がる」というカラクリです。
金融庁の「2023年度金融行政方針」では、国民の安定的な資産形成を促す中で、多様な金融商品への理解を深める重要性が指摘されています。金利が動き始めた今こそ、このシーソーの関係を理解することが、あなたの資産を守るための第一歩となるのです。
「利回り」は一つじゃない?レストランのメニューでわかる本当の価値
「債券の利回りが上昇」というニュースを見たとき、どの「利回り」を指しているか意識したことはありますか?実は、債券の利回りにはいくつか種類があり、これを混同すると投資判断を誤る原因になります。
これも、レストランのメニューに例えるとスッキリします。
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表面利率(クーポンレート) これはメニューに書いてある「定価」のようなもの。債券が発行されるときに決められた、額面金額に対する年間の利息の割合です。あなたが買った年利1%の国債なら、表面利率は1%です。これは満期まで変わりません。
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直接利回り これは「今日の時価で買った場合の実質的なお得度」です。計算式は「年間クーポン ÷ 債券の購入価格」。例えば、表面利率1%(年間クーポン1万円)の国債が98万円に値下がりしている時に買えば、直接利回りは「1万円 ÷ 98万円 ≒ 1.02%」となり、表面利率より高くなります。
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最終利回り これが最も重要で、投資家が最終的に手にするトータルのリターンを示します。満期まで持ち切った場合の「クーポン収入」と、購入価格と額面の差額である「償還差損益」を合わせた利回りです。 先ほどの98万円で買った国債を考えてみましょう。あなたは毎年1万円のクーポンをもらい続け、満期には額面の100万円が返ってきます。つまり、2万円の差額(償還差益)も得られるわけです。この利益も全部ひっくるめて年率換算したものが最終利回りです。当然、直接利回りよりもさらに高くなります。
なるほど! と思いませんか?ニュースで報じられる「長期金利」とは、多くの場合、この「最終利回り」を指します。つまり、額面より安く(アンダーパーで)取引されている債券が増えている、という市場のシグナルなのです。この違いを知っているだけで、債券への見方がガラリと変わるはずです。
ポートフォリオの「守り」を固める、賢い債券との付き合い方
では、この金利変動期に、私たちは債券とどう付き合っていけばいいのでしょうか。一つは、個人向け国債(変動10年)のように金利上昇に連動して受け取る利息が増えるタイプを選ぶことです。もう一つは、NISAやiDeCoの枠内で、複数の債券に分散投資された債券ETF(上場投資信託)を活用することです。
日本取引所グループ(JPX)が公表している「ETF・ETN月次レポート(2024年4月)」によると、金利の先行き不透明感から、特定の年限の国債を対象としたETFへの関心が高まっています。しかし、どの年限の債券(短期、中期、長期)を、どのタイミングで、どれくらいの割合でポートフォリオに組み入れるべきか。これを個人で判断するのは、専門家でも至難の業です。金利の動きを予測して機動的に売買するのは、現実的ではありません。
そんな時、balnのような資産運用アプリが思考のショートカットになります。balnは、あなたのリスク許容度を診断し、それに基づいて株式だけでなく、国内外の債券ETFを含む最適なポートフォリオを自動で構築してくれます。重要なのは、市場の変動で資産のバランスが崩れた際に、自動で元の比率に戻す「リバランス」を行ってくれる点です。金利上昇で債券価格が下がれば、割安になった債券を買い増し、逆に株価が上がりすぎれば一部を売却して債券に振り分ける。この面倒な調整をすべて任せられるので、あなたは日々の価格変動に一喜一憂することなく、長期的な視点で資産の「守り」を固めることができるのです。
今すぐできる、たった一つのアクション
難しい計算や市場予測は必要ありません。今日、あなたにできる最も重要なアクションは、ご自身のNISAやiDeCoの口座にログインし、資産の内訳(ポートフォリオ)を確認してみることです。
そこに「国内債券ファンド」や「先進国債券ファンド」がどれくらいの割合で含まれていますか?そして、そのファンドが保有している債券の平均的な満期(デュレーション)はどのくらいでしょうか?今日学んだ「金利と債券価格のシーソーの関係」を思い出しながら、自分のポートフォリオを眺めてみてください。それだけで、あなたの資産に対する解像度は格段に上がり、次の打ち手を考えるための、最高のスタート地点に立つことができるでしょう。